事業承継

現社長から長男への事業承継対策

【概要】

現社長には後継者候補としての長男(40歳)がおり、既にA社の取締役として入社し、現社長は、長男に対して全面的な信頼を置いている。
現社長は、来年3月で70歳になるため、それを機会に「隠居」して、その後は長男に社長を交代し、A社の経営を任せたいと考えているが、株価が高いため株式を長男に移転すると、税金や売買資金等が必要となるので迷っている。
長男は、自分が社長になるにあたって、A社株式を少なくとも過半数以上は取得して、名実ともに経営者としてふさわしい立場になりたいと思っている。

(財産状況)

A社株式(100%所有)時価2億円

対策をしなかった場合のリスク

このまま相続が発生すると、多額の相続税負担が生じる。
今後も業績向上の見通しのため、株価が上昇し続ける。
社長所有の株式を生前に贈与又は譲渡することが考えられるが、贈与では長男に莫大な贈与税がかかり、譲渡では長男に買取資金を調達する必要が生じ、かつ社長には多額の譲渡所得税が課されてしまう。
暦年贈与をしていくしか方法はない。

当事務所の提案

株式評価のシミュレーションを行い、現状のまま株式を保有した場合、現社長に退職金を支給した場合など、今後10年後における株価の推移を試算。

現社長所有するA株式について、現社長を委託者兼当初受益者、長男を受託者、二次受益者を長男とする家族信託を締結し、A社株式の名義のみを長男に変更する。

【提案のメリット】

家族信託の場合には財産権の移転は生じないので、株式信託の場合には、課税は全く生じない

家族信託の手続きは登記等の必要がないので、極めて簡単である。

契約開始後は、A社株式の議決権のみが長男に移転するので、長男は新代表取締役として、責任をもって会社の経営を行うことができる。

現社長が死亡した場合には、A社株式の受益権が即座に長男に移転し、その後に長男が家族信託契約を解除すれば、名実ともにオーナー株主になることができる。

長男が受益権を取得した後も家族信託を継続する意向があれば、契約変更により、長男の次の受益者を長男の子にすること等が可能となる。