事業承継2012.10.22

オーナー会社への貸付金がある場合には?

税理士の山口光徳です。


このブログを通じて、中小企業の経営者の方に役立つ情報をお届けしていきます。


今回は、専門としている事業承継に関する内容です。



「オーナーの会社への貸付金がある場合のリスクと対策」についてお伝えします。



オーナーをはじめとする役員の会社への貸付金があるが、会社から返済することもできず、「このままだと相続財産になってしまう・・・」と分かっていながらも、対策ができていないということはないでしょうか?



オーナーの貸付金を自社株へと変えると相続税対策となる」ことがあるのです。



改めて、リスクについてですが、

オーナーの会社への貸付金は相続財産

となります。



会社の負債の中にオーナーからの借入金がある場合には、

オーナーに相続が発生すると、会社に対する貸付金という相続財産になります。



そこで、貸付金を自社株に変え、

(会社側からみると、借入金が資本金に変わる)

DES=デット・エクイティー・スワップといいます

相続財産の圧縮を図ることができます。



つまり、オーナーの貸付金を自社株へと、相続財産の中身を変えるのです。



しかも、資産よりも負債の多い債務超過状態であり、

未だに負債のほうが大きければ株価は0円のままです。



オーナーの立場からは貸付金がなくなるため0円となり、

自社株は貸付金の分だけ株式自体の量が増えますが、

相続財産としての株価は0円で変わりません。



このように、貸付金よりも、「取引相場のない株式」のほうが相続財産のとしての評価は下がるのです。


会社にとっては借入金が減って、資本金が増えるため、

会社の財務状況の改善が図れるというメリットもあります。



ただし、

l 法人住民税の均等割額の負担が増えることがある

l 会社が債務超過状態であり、繰越欠損金がない(少ない)場合は、課税の問題が生じる可能性がある

という点に注意が必要です。





いかがでしょうか?



平成18年の税制改正以降、

「会社への貸付金を自社株に変えることは、課税の問題がクリアできず、できなくなったのでは?」

と会計人でも勘違いしている内容です。



会社に対する貸付金が問題となるのは、いざ相続が起こる際がほとんどですので、分かっていても放置されていることがほとんどです。


慎重な対策がひつよな場合もありますが、必ず起こる相続や事業承継に備えて、対策を検討しておく必要があるのです。(^_^;)