税理士の山口光徳です。
このブログを通じて、中小企業の経営者の方に役立つ情報をお届けしていきます。
今回は、専門としている事業承継に関する内容です。
「オーナーの会社への貸付金がある場合のリスクと対策」についてお伝えします。
オーナーをはじめとする役員の会社への貸付金があるが、会社から返済することもできず、「このままだと相続財産になってしまう・・・」と分かっていながらも、対策ができていないということはないでしょうか?
「オーナーの貸付金を自社株へと変えると相続税対策となる」ことがあるのです。
改めて、リスクについてですが、
【オーナーの会社への貸付金は相続財産】
となります。
会社の負債の中にオーナーからの借入金がある場合には、
オーナーに相続が発生すると、会社に対する貸付金という相続財産になります。
そこで、貸付金を自社株に変え、
(会社側からみると、借入金が資本金に変わる)
※ DES=デット・エクイティー・スワップといいます
相続財産の圧縮を図ることができます。
つまり、オーナーの貸付金を自社株へと、相続財産の中身を変えるのです。
しかも、資産よりも負債の多い債務超過状態であり、
未だに負債のほうが大きければ株価は0円のままです。
オーナーの立場からは貸付金がなくなるため0円となり、
自社株は貸付金の分だけ株式自体の量が増えますが、
相続財産としての株価は0円で変わりません。
このように、貸付金よりも、「取引相場のない株式」のほうが相続財産のとしての評価は下がるのです。
会社にとっては借入金が減って、資本金が増えるため、
会社の財務状況の改善が図れるというメリットもあります。
ただし、
l 法人住民税の均等割額の負担が増えることがある
l 会社が債務超過状態であり、繰越欠損金がない(少ない)場合は、課税の問題が生じる可能性がある
という点に注意が必要です。
いかがでしょうか?
平成18年の税制改正以降、
「会社への貸付金を自社株に変えることは、課税の問題がクリアできず、できなくなったのでは?」
と会計人でも勘違いしている内容です。
会社に対する貸付金が問題となるのは、いざ相続が起こる際がほとんどですので、分かっていても放置されていることがほとんどです。
慎重な対策がひつよな場合もありますが、必ず起こる相続や事業承継に備えて、対策を検討しておく必要があるのです。(^_^;)